
そばを自宅で打ってみるのはいかがでしょうか。
コシがあって切れないそばの鉄則の4か条
- そば:強力粉=8:2、水は総量の45%
- 2ステップでこねる
- 1〜1.5mmまでのす
- 茹でるのはたっぷりの湯に一人前のそば
そもそもそば打ちを始めるキッカケとなった事について記します。
最初は会社でのイベントからでした。
そば打ち体験というもので、道具はもちろん粉から水まで用意されていました。
それまでなんの知識もなかったのですが、粉と水のみで出来ているシンプルさに魅力を感じました。
そして家でもやってみたいという衝動に駆られ、まず入門用の手打ちセットを東急ハンズ(現在、ハンズ)で購入しました。
最初の素材としてスーパーで売っているそば粉につなぎとして薄力粉、打ち粉としてはそば粉をそのまま使っていました。
しかし生地どうしがくっつき、またコシもなく切れ、そばとは程遠いものでした。
そこから試行錯誤が始まり、今もそば粉は基本はスーパー(オーケーで売っているもの)、あとはAmazon、たまに富澤商店、さらに極たまに道の駅などにあれば買っています。
打ち粉はスーパーには無いので、ネットか富澤商店です。
つなぎは妻がパンを焼くので、そこで使う強力粉を使います。
また道具については以下のようなこともあって買い替えています。
ある年の大晦日に毎年行っていた蕎麦屋があったのですが、その年はそばが来るまで多分1時間近く待ったと思います。
その時に来年からは自分でそばを準備しようと以下に至りました。
ある程度の人数分を打つとなると、道具に不満を覚えるようになりました。
こね鉢が小さく、粉の量が多いと水回しの際の余裕を感じられなくなりました。
またのし棒が反ってきて生地を広げる際に、厚みのムラが発生していました。
さらに、のし板も500gの粉で打つと板からはみ出してしまう、コマ板も反って滑りも悪く、やはり入門用で安い分品質は十分ではありませんでした。
現在の道具は10年ほど前に3万円程度で買ったそば打ちセットです。
そば:強力粉=8:2、水は総量の45%
そばはやはりそばの風味を味わいつつもそばとしてすすれる長さ、コシや歯ごたえ、喉ごしを保つために二八(にはち)が良いです。
水の量ですが、基本は以下です。
粉の総量(g)x0.45
単位はグラムでもccでも大丈夫です。
気温と湿度で多少変わるので、水回しの段階で多少加減します。
水と粉が準備できたら、まずはこね鉢に全ての粉をふるいにかけながら入れます。
私はふるいは持っていないので、金網のザルで代用しています。
粉を平らにならし(左の写真)、そこに用意した水の半分程度を回し入れます(右の写真)。
手の形を鷲づかみのように指を立てて固定し手早く均等に水と粉を混ぜます。
この段階では粉のままの状態と細かい揚げ玉(天かす)のような小さな塊とが融合していると思います(下の写真左)。
次に最初と同様に粉を平らにし、残りの水を全量の1割程度残して回し入れます。
再度、手早く水を全体に回し、小さな塊が大勢を占めるようになったら最後の調整の水を振りかけます。
九割加水では粉がかなり消えてきています。
水量調整は私の感覚では粉が残るかどうかくらいで、あとは小さな塊が耳たぶ程度の柔らかさくらいかで判断すると言われます。
2ステップでこねる
ここから、一気に一つの塊にしていきます。
まず、こま切れの小さな塊をつまみながら団子サイズ(写真左)、さらに饅頭サイズとして、最後は一つ(写真右)にまとめます。
この状態でも、細かい粒や粉は多少残るので、塊をこね鉢に擦り付けながら拭き取っていきます。
ここから生地を手早くこねていきます。
いろいろやり方があると思いますか、私は2つのステップを踏みます。
最初は横に長細くして、それを縦にして巻くようにして再び横に伸ばすようにこねます(写真)。
これを10回ほど繰り返すと、生地はすっかり水分が回って地肌がツルツルしてきます。
この後、コシを強くし切れないようにするためにいわゆる菊練り(下の写真左)という次のステップに入ります。
私は利き手が右なので、そばの塊を右手のひらで押しては左手で少し回転させてを繰り返します。
まるで餅つきを行う二人の動きを、それぞれ右手と左手が表現しているかのようにします。
たまに左右で役割を替えながら私は200回ほどこねます。
最後に生地を円すい状にして立てて先端を埋め込むように潰し円盤状にします。
これで水回しからこねまで完了です。
1〜1.5mmまでのす
次にのしていく工程です。
円盤状の生地を少量の打ち粉を広げたのし板の上に置きます。
少しの打ち粉によって、のし板に生地がくっつかないようにし、かつ水分を生地から奪わないようにします。
まずは円盤を薄くして、ピザの生地のようにしていきます。
手のひらの親指の付け根の強い部分を相撲の張り手のように生地に押し当てます。
反対の手で少しずつ回転しながら、外周から内周へ順々に押し広げます。
イメージはメタルスライムのような形を作り、最後は中心に残ったメタルスライムの頭を潰して平らにします。
メタルスライム、ご存知無ければすみません。
何度かこれを繰り返し、押し広げるのが限界になりそうな厚さ、10mmくらいでしょうか、ここからのし棒が登場します。
ここからは,なかなか気が抜けない工程が続きます。
生地をのして広げれば広げる程、生地表面積は増えて乾きやすくなっていきます。
またここまでは生地に厚みがある分、生地を円形にキープするなど形状修正がしやすい状況でした。
のし棒を丸い生地の中央に置いて(下の写真左)転がし生地から落ちる少し手前で止めます。
最後まで転がさないのは、力加減にもよりますが、生地の最後の箇所に力が集中して生地の一部が薄くなってしまうのを防ぐためです。
その後、生地を90度回転させ、同様に生地をのしていきます。
5mm程度まで薄くなったら今度は形状を四角にする(ツノ出しともいうようです)ためにのし棒に生地を巻き取っていきます。
右は横方向のみにツノ出しをした状態
その際は、打ち粉を巻いていく方向に直線状に振ります。
これにより中央が急激にのされ生地どうしがくっつくことを防ぎます。
同じ方向で往復、さらに直角方向に往復、それぞれ複数回ずつ転がします。
大まかに四角になったら、あとは四角を出来るだけキープしながら厚さを均一にし、最終的には厚さ1〜1.5mmに仕上げます。
のしは経験を要する工程で、最初のうちは生地が切れたり、端の方が波立ったり、完成形状がうまくいかなかったりしました。
形状に関してはいまだに満足するようなものができた記憶は有りません。
のしが完了したのち、量にもよりますが半分に畳んで(上の写真)、それと直行する方向に3つ折りなどで畳み、まな板に載せます(下の写真)。
生地が触れ合う面やまな板、こま板の接触面は打ち粉を多めに振り広げます。
生地間の打ち粉は生地どうしがつかないようにするためであり、また、そばどうしが付かない役割もあります。
まな板の打ち粉はまな板に付かないのはもちろん、包丁で切った時に一番下の生地までしっかりと切れるようにする役割があるかと思います。
こま板にあたる生地の打ち粉はコマ板をスムーズに滑らせる役割があると思います。
畳んだ生地にこま板を乗せ、包丁を生地とこま板に当てがいリズム良く切って行きます。
切る時は、そば切包丁を真っ直ぐ落とす感じです。
そして落としたとほぼ同時にこま板側に包丁を少し傾けて、こま板を生地の厚さと同じ1〜1.5mmを目標にずらすようにします。
私はこれを20回繰り返して、これを1人前としています。
これを生船(生そばを入れておく容器)があればいいですが、私はバットやタッパー、足らないとお皿に納めます。
茹でる時を想定し一人前ごと取り出せるように入れています。
茹でるのはたっぷりの湯に一人前のそば
会社の体験会では、業務用の寸胴が用意されていて、一度に茹でる量が多かった記憶があります。
その時講師の方が言っていたのは、一般家庭の鍋であれば一度に茹でる量は一人前までということでした。
まずは家にある鍋で出来るだけ大きな鍋を2つ準備して、大きさに差があればそのうちの小さな方の鍋に8分目までの湯を沸かします。
湯を沸かす間に湯切り用のザルとそれがしっかり浸かる程度のボールに氷水を作っておきます。
また、ザルが収まるこちらは空のボールをシンクに用意します。
お湯が沸いたらそばを一人前だけそっと持ち上げ、バラけるようにさーっと入れます。
鍋底にそばがつかないように、菜箸で軽く持ち上げたらあとは触りません。
茹で時間は、30秒です。
量が適切ならすぐにそばが上方で回転するように沸き立つので、吹きこぼれないように火加減で調節し、時間が来たら火を止めます。
使用していない鍋の上に湯切り用のザルを置き、そのザルの中にそばを茹でたお湯ごと全て注ぎ入れます。
ザルを取り上げて、シンクに用意したボールに入れ、流水でそばのヌメリを洗い流します。
その後、そばにコシを持たせるために氷水に10秒ほどさらします。
ザルを上下に揺すって大まかに水分を切り、最後の盛り付けの時は一口程度ずつ指先でつまむようにして水分を取ります。
そばつゆですが、こちらについては市販のめんつゆでも良いですが、自分でそばを打つようになってからは、合わせて用意しています。
そばつゆについては別記事で紹介したいと思います。
まとめ
- そば粉とつなぎ粉の比は8:2、水はその総量の45%
- 2ステップでこねる ①縦にこねて横に伸ばす ②菊練りで仕上げる
- 1〜1.5mmまでのす ①手で押してのす ②のし棒でのす
- 茹でるのはたっぷりの湯に一人前のそば 二つの鍋で入れ替えで効率よく茹でる
そば打ちはシンプルな材料の一方多少の道具が必要で、各工程で様々な技術が要求され、とても奥の深いものです。
基本的に我が家ではそばは私が手打ちしたものになっていて、それほど回数は多くはありませんが、思い出してはやっています。
いつか子供が家を出る時、その時の引っ越しそばは自分が打ったもので、、なんて密かに思ったりもしています。
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